Ginza, Tokyo, ca.1925: from a printed picture postcard

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都市発生学研究会 Open Seminar on Urban Embryology

「都市発生学」は、私たちの研究室の研究方法のひとつを要約するためにつくった造語です。胚の発生=発達を主題とするいわゆる発生学(embryology)あるいは生物が成熟した個体になるまでの全過程を追う発生生物学(developmental biology)に倣って、都市組織(urban tissue)の生成・展開のメカニズムに迫る方法論を模索しています。シャーレのなかで再現されたプロセスを観察することを、インビトロな研究といいますが、都市発生学は(いくぶん奇妙な表現ですが)いわばインビトロな歴史研究をイメージしています。「都市発生学研究会」は、こうした私たちの関心に連なる研究の開拓者をお招きして行っている公開研究会です。


これまでに行われた都市発生学研究会


 
 

第7回都市発生学研究会(2013/07/25)

講演者:森田芳朗先生 (東京工芸大学)

「「動くすまい」の制度的位置づけ-アメリカのモービルホームと日本のトレーラーハウスを中心に-」

東日本大震災から立ち直る暮らしを支えるため、トレーラーハウスが被災地に送られている。しかし、その制度的位置付けの曖昧さがそうした活動の妨げとなった状況も一部で報道されている。この「動くすまい」は車か家か。この点は、日本のトレーラーハウスの原型となったアメリカのトラベルトレーラーやモービルホームでも揺らぎがあった。本報告では、これら日米の「動くすまい」の制度的位置付けとその変化を概観する。


 
 

第6回都市発生学研究会(2013/07/11)

講演者:福村任生先生 (東京大学大学院)

「戦後期イタリアにおける都市組織論の誕生:建築家サヴェリオ・ムラトーリ(1910-73)の思想と方法論」

1970年代後半、陣内秀信氏をはじめとして日本に伝えられた方法論に《ティポロジア》すなわち「建物類型学(tipologia edilizia)」がある。これは当時のイタリア諸都市の歴史的街区を「都市組織(tessuto urbano)」として再評価・再生していく有効な方法論となった。しかし、これまでこのイタリアにおける都市組織論の形成過程や思想背景についてはほとんど語られてこなかった。
今日において都市組織論を継承・発展させていく上で、その原点をどこかで再確認する必要があるのではないか。本報告では、《ティポロジア》の創始者とされるS.ムラトーリに焦点をあて、戦後期イタリアの文脈において都市組織論がどのように構想されたのかを考察したい。


 
 

- 第5回都市発生学研究会(2012/07/19)

講演者:松本裕先生 (大阪産業大学)

「近代都市再開発を通じた都市組織の重層化 19世紀パリ大改造をめぐって」

歴史都市パリでは、市域の拡張をはじめ数々の都市改造が行われた結果、幾重にも織重なる特徴的な「都市組織」(tissu urbain)が形成されている。本発表では、セーヌ県知事オスマンによるパリ大改造を通じた「都市組織」の変容を詳細に考察する。特に、「オスマニザシオン」と称され、パリのみならず諸都市の近代都市計画に多大な影響を与えたこのパリ大改造が、中世都市の暴力的解体ではなく、むしろ既存「都市組織」のさらなる重層化に寄与したことを実証的に示したい。


 
 

- 第4回都市発生学研究会(2011/09/30)

講演者:中島直人先生 (慶應義塾大学)

「三陸海岸の都市・集落 歴史的に考える災害と再生」

三陸海岸の都市・集落の復興を考える上で、歴史は大きな意味を持つ。周知の通り、三陸海岸の都市・集落は津波による災害と再生を反復的に経験してきた。第4回都市発生学研究会では中島直人先生をお招きし、復興計画史について、その現代的意義や現在の復興支援活動を視野に入れながらご報告いただき、明治大学建築史・建築論研究室の現地調査報告とともに、三陸海岸の都市・集落の災害と再生を歴史の問題として議論する。
・第1報告
中島 直人 (慶應義塾大学)
「三陸の復興計画史からの展開」
・第2報告
明治大学 建築史・建築論研究室
「三陸津波と集落の変容:1896,1933,1960」


- 第3回都市発生学研究会(2010/10/14)

講演者:牧紀男先生(京都大学防災研究所)

「移動する人々 -災害の住居誌—」

自然災害に見舞われた人々は、住居の移動を余儀なくされる。移動のレベルは、避難 所へ避難する・親族の家へ避難する、といったレベルから、集落・都市ごと移転してしまうといったものまで様々である。植民地経営や戦争・悪政といった社会的要因に 加えて、大規模な自然災害も人々の大規模な移動を発生させる一つの要因となっている。地震でも壊れない強い住宅にするというのが災害に備える唯一の方法のように考 えられているが、災害後の「移動能力」の大小も我々の災害に対する対応能力を決定している。日本・台湾・フィリピン・インドネシアといった環太平洋の国々は日本と 同様、多くの自然災害に見舞われる国土を持つ。この講演ではアジアの自然災害の事 例を中心に自然災害後の人々の移動について考える。


 
 

- 第2回都市発生学研究会(2010/04/28)

講演者:初田香成先生(東京大学)

「闇市=都市論序説 —都市建築史から見た東京の闇市」

新宿の思い出横丁や吉祥寺のハモニカ横町など、駅前で独特の雰囲気を醸し出している空間がある。こうした空間はどのようにして出来、現在に至ったのだろうか。本発表ではこうした空間の起源にあたる戦後東京の闇市をとりあげ、その誕生から変容までの過程を明らかにする。闇市はこれまで戦後の一時期に特有の非日常な空間として捉えられがちだった。しかし、本発表ではそれが存在する背景となる空間や社会のありようまで明らかにすることで、都市建築史という観点から新たな視点を打ち出したい。一見、ほとんどが消滅してしまったかに見える闇市だが、姿を変えつつも、現在の東京の都市空間を大きく規定しているのである。


 
 

- 第1回都市発生学研究会(2009/12/10)

講演者:田中傑先生(芝浦工業大学)

「関東大震災後の復興プロセス --バラックから本建築へ--」

今から80数年前、関東大震災に罹災した東京の市街地にはバラックと称される23万棟もの仮設建築物が出現し、各種の復興事業が施行されるまでのあいだ、東京市民の日常生活の場となった。
本研究会では、政府特認の"合法的違法建築"たるバラックがいかなる経緯で、いかなる主体によって建設され、さらに合法的建築物たる"本建築"へといかに更新されていったのか、建築・都市計画関連法規や復興事業の施行との関係をふまえながら紹介する。また、この復興市街地が今日の東京都心部における土地利用現況におよぼした影響を 指摘し、その「遺産」、「負債」についても議論したい。